ピクノジェノールは「悪玉」コレステロールと「善玉」コレステロールのバランスを整える

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はじめに

 現代社会において、高コレステロール値がアテローム性動脈硬化(症)の深刻な危険因子の1つであることは、周知の事実である。
しかし、高コレステロール値が認められる場合には、詳細にコレステロール値を分析する必要がある。
 なぜなら、高LDLコレステロール値のみが、深刻な危険因子であると考えられているからである。
酸化LDLコレステロールは、血管壁に粘着する。
多量のLDLは、血管内における脂肪沈着形成の可能性を高めるため、LDLは「悪玉」コレステロールとされている。
 一方、HDLコレステロールは、コレステロールを血管およびその他の細胞から除去し、排出のために肝臓に運ぶ。
血中の高HDL濃度は、心血管系疾患のリスク減と関連するため、HDLは「善玉」コレステロールと呼ばれている。
 それゆえ、総コレステロール値のほかに、「悪玉」コレステロールと「善玉」コレステロールの均衡は、心血管系疾患リスクの予測因子なのである。
 コレステロール値を下げるのに有効な薬は、数多くある。
しかし、これらの薬には副作用があるので、コレステロール値を緩やかだが減少させ、副作用のあまりない栄養補助食品は、価値のある代替物といえる。
 いくつかの臨床試験において、ピクノジェノールの摂取は、総コレステロール値を下げるだけでなく、「善玉」HDLを増やし、「悪玉」LDLを減らす追加効果があることが示されている。

1.臨床試験

 アメリカでボランティア25名を対象に、ピクノジェノールRの生体利用効率を実証する試験が行なわれ、ピクノジェノールによる脂質代謝改善の実態が示された(Devarajら、2002)。
ピクノジェノール150mg摂取後に、肥満のボランティアの血液を分析した結果、血祭のポリフェノール値に顕著な増加が見られた。
このことにより、ピクノジェノールに含まれるポリフェノールが胃腸管から吸収されたことが実証された。
ピクノジェノールに含まれるポリフェノールは、高い抗酸化活性を持っている。
その結果、血梁の酸素ラジカル吸収能(oxygen radical absorbance capacity)は、ピクノジェノール摂取前、摂取停止後の値と比べて、ピクノジェノール摂取期間中の方が高かった。
 ボランティアの血液を分析した結果、ピクノジェノールによる総コレステロールの変化はなかったが、試験開始前の値と比べて、LDLコレステロールが著しく減少し、HDLコレステロールが増加したことが示された。
つまり、ピクノジェノールの摂取により、「悪玉」LDLと「善玉」HDLの比率が、よりアテローム硬化のリスクが少ない方へ変化したのである。
 別の臨床試験では、慢性静脈不全の患者40名を対象に、ピクノジェノールとヴュノスタシンR(セイヨウトチノキ種エキス)の静脈不全による急激な腹痛、痛み、腫れの軽減効果を比較した(Koch,2003)。
 この比較研究で、ピクノジェノールの慢性静脈不全の全症状を改善する有意性が明らかになり、また患者の血中脂質の分析で、ピクノジェノールを摂取したグループに有意な変化があったことが分かった。
一方、他方のグループでは顕著な変化は見られなかった。
ピクノジェノール摂取4週後では、LDL総コレステロール共に顕著に低下した。
HDLの増加は見られたが、統計的有意水準には至らなかった。
 3つ目の臨床試験は、勃起不全の患者21名に対して行なわれた(Durackovaら、2003)。
このプラセボ対照二重盲検試験では、ピクノジェノールを摂取したグループの患者は、摂取開始後3カ月で、勃起機能が改善しただけでなく、総コレステロールとLDLの値が摂取開始前の値と比べて顕著に減少したことが分かった。HDL値は増加したが、統計的有意水準には至らなかった。

おわりに

それぞれ個別に行なわれたアメリカ・ドイツ・スロバキアにおける研究で、脂質代謝の改善が認められた。
3つ全ての研究で、患者の血中の「悪玉」LDL濃度の減少、「善玉」HDL値の増加が報告されたが、2つの研究では、HDLの増加は統計的有意水準には至らなかった。
総コレステロールは、2つの研究で減少が見られ、これは主にLDL値が下がったためであった。
 これらの試験結果により、アテローム硬化を促進するLDLと善玉HDLの均衡の変化が示され、その変化はアテローム性動脈硬化(症)のリスクを減少させる方向へ向かうもので、結果として、ピクノジェノールの摂取により心血管系疾患のリスクが減少することが示された。

参考文献

1)DevarqjS,Vega-LopezS,KaulN,SchonlauF,Rohde WaldP,JialalT.:SupplementationwithaPineBark ExtractRidlinPolyphenoIsIncreasesPlasmaAntioxi dant Capacity and Alters the Plasma Lipoprotein Profile.Lipids,37(10),931−934(2002)
2)KochR:ComparativeStudyofVenostasinRandPycnogenolRinChromicVenousInsufficiency,Phytother Res,16,1-5(2002)
3)DurackovaZ,TrebatickyB,NovotnyVIZitnanovaI, BrezaJ.:LipidmetabolismanderectilefunctionimprovementbyPycnogenolR,extract from the bark of Pinuspinaster in patients suffering from erectile dys function-a pilot study,Nutrition Res,23,1189-1198(2003)