ピクノジェノールによる足のむくみと深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の緩和

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はじめに

 足のむくみ、足が重い感覚、夜間引き起こす痘攣は、病気とはいわないまでも不快である。
この不快は終日立った状態、あるいは固定された姿勢のまま座って仕事をしなくてはいけない中年女性にしばしば見られる。
それは下肢の動作が悪くなることで下肢血圧が高まり、その下肢血圧によって、毛細血管から細胞組織内に水分が押し出されることに起因する。
細胞組織内での高い水分保持は、足のむくみを引き起こし浮腫を形成する。
これは慢性静脈不全の場合に見られるような静脈が正常に働かない時に度々起こる。
慢性静脈不全を患っている主として女性患者の場合においては、下肢のむくみや足の重みといった穏やかな兆候がまず見られ、その後足の痛みや痘攣を引き起こすのである。
さらに運動の欠如や高血圧といった状態が続くと、下肢の細胞組織が損傷し炎症を引き起こしやすい。
最終的には微小循環が破壊され、細胞組織は酸素や栄養素を十分に与えられず壊死する。
そして慢性静脈不全の末期には、悪性の潰瘍が下肢に形成されるようになる。
 このような問題を回避するためにも、初期段階でのどクノジュノールの摂取は静脈障害を回避したり、生清の質そのものを改善したりと非常に効果的で、多くの女性の助けとなるだろう。
 ピクノジュノールは破れた毛細血管を塞ぎ、浮腫の形成を防ぐ(Blaszoら、1997)。
そして、さらにピタノジェノールは微小循環を改善し(Wangら、1999)、抗炎症剤としての役割を果たす(Rohde−wald,2002)。

慢性静脈栓

 慢性静脈不全患者の浮腫形成を抑える効果を実証するために、いくつもの臨床試験が行われてきた。
下肢のむくみに対する臨床試験では、下肢の体積を計測するのに水を張った容器の中に足を入れ、溢れ出た水の量を正確に計測する方法を取る。
まずは始めに患者は測定前に横たわった状態で1時間休息を取り、下肢の体積を計測する。それから患者はまっすぐな姿勢で座り1時間後、2時間後の下肢の体積を再度測定する。
慢性静脈不全の患者においては、横たわった状態に比べ座った状態の方が静脈庄が高まり、下肢のむくみを引き起こし結果として、下肢の体積の増加に繋がった。
そしてピクノジェノールを摂取した群においてもこの測定は繰り返され、むくみが軽減されていることがわかった。
しかしプラセボを摂取した群に関しては、むくみは十分に軽減されなかった(Schmirtke and Schoop,1995)。

 二重盲検法の臨床試験においては、ピクノジェノールを摂取した被験者は静脈不全の兆候がより少ないと報告されたが、プラセボを摂取した被験者については有意差が見られなかった。
また、ピクノジェノール摂取群の3分の2の被験者は治療60日後にはむくみや痛みがなくなっていた(Arcan-geli,2000)。
なお、この試験においては副作用は見られなかった。
 Petrassiら(2000)によって行われた二重盲検法の試験においては以下の発見があった。
下肢のむくみや足が重く感じることは、ピクノジェノール摂取群では著しく減少したが、プラセボ摂取群では著しい改善が見られなかった。
また、試験の最初と治療60日後に静脈庄を検査したところ、ピクノジェノール摂取群においては急激に減少したが、プラセボ摂取群においては改善が見られなかった。
両群において、治療の忍容性は非常に高く、副作用は報告されなかった。
そして常用性の臨床化学パラメータにおいても、治療後は変化が見られなかった。

 ドイツで慢性静脈不全の症状が見られる40人の患者を用い、セイヨウトチノキ抽出物を使った一般製剤(Venostain)とピクノジェノールの効果を比較した研究が行われた(Koch,2002)。
ピクノジェノールはセイヨウトチノキ抽出の60%摂取量にて行われた。
ピクノジェノールを4週間以上摂取することで、浮腫を軽減させ下肢の外周を著しく減少させたのに対し、セイヨウトチノキ抽出物は有意性のある効果をもたらさなかった。
これに対し痛み、痘攣、足が重い感覚や発赤はピクノジェノール摂取後、著しく減少したが、セイヨウトチノキ抽出物では効果は見られなかった。
また、ピクノジェノールを摂取した患者にとっての更なる効果はLDLコレステロール値が顕著に下がったことが挙げられる。

 ピクノジェノールの高い効果は慢性静脈不全の70人の患者を用い、トロキセルチン(trihydroxyyethyl-rutime/水溶性ルチン誘導体)のみの摂取と、ピクノジェノールとトロキセルチンの併用摂取の比戟臨床試験でも実証された(Riccioniら、2004)。
あるグループは1日当たりトロキセルチン1200mgを摂取し、もう一方のグループはピクノジェノール40mgとトロキセルチン940mgを併用摂取した。
 治療90日後、ピクノジュノールとトロキセルテンの併用摂取群においては88%の患者で改善が見られたが、トロキセルチンのみの摂取群においては50%に留まった。
ピクノジェノールとトロキセルテンの併用摂取群は、トロキセルテン単体摂取群と比べて、トロキセルチン量が260mg少なかったにも関わらず併用効果は極めて高かった。
その結果として、ピクノジェノール40mgを加えただけでトロキセルテンの驚くべき禰助的効果が示された。

深部静脈回栓症

気圧の低い飛行機の中で固定された姿勢のままでピクノジェノールによる下肢むくみ減少効果長時間座っていた後は、下肢がむくみ、靴が履きにくくなる。
二重盲検法による169人の乗客を用いた臨床試験では、搭乗2時間前と6時間後にピクノジェノールを摂取することで、下肢のむくみの大きさを著しく減少させることができた(CesarOneら、2005)。
搭乗直前、直後の乗客に対し、長距離フライトの前にピクノジェノールを摂取することで下肢の不快なむくみを防止するか臨床調査を行った。
その結果、浮腫の形成を抑えるにはピクノジェノールを早い段階で摂取することが効果的であると示された。
 大事なことをひとつ言い残したが、搭乗前、そして、機内でピクノジェノールを摂取することにより、血栓症に屠る危険性を軽減させることができる。
 巷で呼ばれている「エコノミークラス症候群」の危険性は、近年多くのメディアを賑わせた。
この味部静脈血栓症は、長時間座ることにより血流が悪くなり、下肢の血管内に血の塊が形成することによって引き起こされる(Ferrariら、1999)。
 この血栓が肺の動脈に流れると、血管にこびり付き、血流を止めてしまう。そしてこの「肺塞栓」は致命的な結果をもたらすことが多い。
一方でこの現象はエコノミークラスに限られたものではなく、低い気圧・湿度の環境下に長時間座った後に起こる。
下肢の血流が悪くなると血小板が互いに接近し合い、その血小板が活性化状態にあると凝固し塊を形成することもある。
ピクノジェノールには血小板凝固抑制作用があり、これについて血栓症の危険にさらされて生活している喫煙者を対象として試験を行っている(Putterら、1999;Watson,1999)。
 7〜12時間のフライトで旅する乗客の調査で搭乗前、そしてその機内でピクノジェノールを摂取した96名の乗客のうち一人も血栓症に罷っていないことが分かった。
その一方、プラセボ摂取群89名の乗客のうち5名は超音波検査で血栓の形成が確認された(Belcaroら、2004)。
機内で体を動かすことと定期的に水分を摂ることを助言されているにも関わらず、血栓は発現したのである。

おわりに

 ピクノジュノールを搭乗2時間前に200mg、搭乗6時間後に200mg、そして、搭乗翌日に100mgを摂取することは下肢のむくみを軽減させる。
自然のサプリメント「ピクノジェノール」は長距離旅行者にとって、なくてはならない荷物の1つのようだ。

参考文献

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2)RDhdewaldP.:A review of the French maritime pine bark extract(PycmogenolR),ahetbalmedicadonwidla diversedhicalphamacology.International Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics,40(4),158-168(2002)
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